昨年4月、障害者差別解消法が施行されました。この法律は、すべての人が、障がいの有無にかかわらず、その人らしさを認め合い、共に生きる社会の実現をめざすものです。具体的には、①障がいを理由とした不当な差別を禁止するとともに、②障がい者が社会で生活するうえでの障壁(バリア)について、それを取り除くために本人からの申し出があった場合の「合理的配慮の提供」を求めています。
しかし、現実には、昨年の神奈川県相模原市の障がい者施設での事件でもみられたように、障がい者への偏見や差別はなくなっていません。
そうしたなか、地域にあって、障がい者へのさまざまな差別の解消等のために取り組む組織として期待されているのが、この法律に基づく「障害者差別解消地域協議会」です。協議会は、都道府県、市町村それぞれの段階で設置できることとされ、民生委員・児童委員を含め、幅広い分野の関係者の参画を得て、障がい者からの差別に関する相談や地域での啓発の取り組みを進める役割が期待されています。
しかし、内閣府の調査によれば、全国の自治体におけるこの協議会の設置状況は、昨年(平成28年)10月現在で30.4%である一方、「設置時期未定」とした自治体が40.4%に上ります。
年齢、また障がいの有無等にかかわらず、すべての人が役割をもって、主体的に参加できる「地域共生社会」の実現のためにも、この障害者差別解消支援地域協議会の設置促進が期待されます。
◎障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等について(内閣府、平成28年10月時点)